はじめての金融教育 No6 家庭科で金融教育。家庭科の先生、ともに頑張りましょう!
はじめての金融教育 No6:家庭科で金融教育。家庭科の先生、ともに頑張りましょう!
2022年4月より家庭科で金融教育が始まりました。私も、教科書を確認しようとしたところ、まだ教科書の改訂が追いつていないということでした。そこで、家庭科の先生に、新しい教科書の見本を拝見させていただきました。
自分の学んだ、三十年前にはない項目が並んでいます。たとえば、D社の教科書では「私たちの暮らしと経済」という項目の中で、1人生とお金、2収入と支出のバランス、3将来の経済生活を考える。学んでみたいと思いませんか?私も高校生の頃に、知りたかった。
給与明細の見方まで、解説付きで掲載されています!
初任給を頂いた時、項目の見方がよくわからなかった時のことを思い出しました。なんと、実用的な知識ではないか。
クレジットカードの支払い方法についてもリボ払いの利息がいかに多いかも図示されています。デビットカードの違いなども載せて、その目的の違いを説明してもらえると、さらに実用的な知識になると思いましたが…。教科書の編纂者の方々はいかがでしょうか?
クーリングオフまでも掲載されています。
クーリングオフとは契約申込日またはクーリングオフの書面を受け取った日のいずれか遅い日から8日以内に、申し込みの撤回または解除を書面で行う。
ここまでは教科書にも載っています。
クーリングオフできないもの
・保険会社の営業所に出向いて契約したもの
・保険期間が1年以内の契約
・契約に於いて医師の診査を受けた場合
・加入義務のある保険契約
・法人などが締結した契約
車の購入もクーリングオフできないので、よく考えてくださいね!
この教科書で学ぶべき、金融教育のポイントは家計のマネージメントと私は思いました。正規雇用と非正規雇用の割合が年齢、性別の違いでグラフ化されている。あるいは、賃金の年齢カーブが55歳を過ぎると、急に下降することが、グラフを見てわかるんです。ライフイベントに応じて、支出割合が高まっていくことも図から学べます。そして、このライフイベントも55歳の子どもの結婚を頂点にして、支出は下がっていきます。
色々な金融知識が学べます。教科書としてはいいんです。それを教えるとなると、どうなんだろう?
たとえば、教科書掲載のライフステージは30歳で結婚することをモデルに作られていることがわかります。このモデルを検証してみましょう。
厚生労働省の資料を見てみましょう。50歳時点の未婚割合は男性でおよそ3割、女性で2割近くにいます(令和3年版厚生労働白書)。このモデルがあてはまるのは、多くて男性7割、女性8割ということです。
さらに令和元年出生率1.36です(令和3年度出生に関する統計の概況)。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/syussyo07/dl/01.pdf
わかりますよね。子どもを作らない、生まないという選択をしている夫婦もいるということです。そうすると、7割の人たちにあてはまるモデルということが妥当ではないでしょうか?
他の3割の人たちは、このライフステージを進めなくなっている社会になっています。であれば、学ぶべきことはこのライフステージを、個別具体的に考えることではないでしょうか。もちらん、家庭科の先生はこの7割モデルを教えるということになると思いますが。
というわけでモデル理論は、当然ながら妥当性と信頼性によって、成り立っている(このモデルの妥当性や信頼性はあります)。ですが、生徒からこのモデル理論、どうなんだろうといった質問がなされたら、どうでしょうか?
データアナリストやデータサイエンティストの方々はその程度のモデル理論で十分だとわかっています。そういうわけで、家庭科の先生も、ぜひ、この連載をお読みになって一緒に考えてほしいな。
そして、子どもも作らないけど、結婚はするという人も増えてきそうだし、結婚もしないし子どもも作らないという人も増えてきそうだし。そんなことを、出生率1.36は暗示しているのではないでしょうか?
その時、どうなるんでしょうね?ライフステージという考え方は。家庭科の先生たち、どう思いますか?
また、家庭科の教科書について取り上げますので、こうご期待を!
図表1-1-2 50歳時の未婚割合の推移|令和3年版厚生労働白書ー令和時代の社会保障と働き方を考えるー|厚生労働省 (mhlw.go.jp)