はじめての金融教育 No11 「消費税は高いけど社会保障が充実しているフィンランドの暮らし、どう思います?」
はじめての金融教育 No11 「消費税は高いけど社会保障が充実しているフィンランドの暮らし、どう思います?」
皆さんは消費税が高くても社会保障が充実しているのがよいでしょうか、それとも消費税がほどほどで社会保障がほどほどなのがよいでしょうか。前者の国が北欧だとすると、後者が日本にあたります。
さて、「チャートで見る北欧」の記事です(日本経済新聞朝刊2022年12月6日)。日本とフィンランドの「1人あたりGDPと所得格差の散布図」を見てください。どちらもフィンランドの方がいい数値なんですよね。ジニ係数は所得格差を表します。数値が高いと、所得格差が広がっていることを表します。例えば、米国は0.40に近い数値で、どの国よりも所得格差があります。
また「各国の国民負担率」の棒グラフを見てください。日本とフィンランドを比べると、日本が30%を超え、フィンランドが40%を超えています。この10%程度の負担率の違いが両国の消費税率の違いになっています。
では、税率が安いのがいい国なのでしょうか?私もPISAの学習調査で上位に位置したフィンランドが注目された時、今から六年ほど前にフィンランドの教育や生活などの本をよく手にしていました。
その時に、同僚に、「消費税は高いけど社会保障が充実しているフィンランドの暮らし、どう思います?」と尋ねたことがありました。
「人口規模が小さいから消費税は高いし。消費税の低い、治安のいい日本の方がいい」
人口規模が大きいので、確かに消費税率を抑えて所得税の累進課税で社会保障をまかなってきたわけです、今までは。ただし、今まで通りにはゆかなくなってきています。
今度は「幸福度指数の内訳」をご覧になってください。フィンランドは1位、日本は54位です。中でも「人生選択の自由」や「社会の公正さ」がフィンランドに比べると、著しく少なく、「寛容性」は内訳に該当していません。日本は世界第3位の経済大国ですが、個人の自由や寛容さについて、課題を抱えていることがわかりますね。
こう見てくると、いや「経済的に豊かなんだから、いいじゃないか」という反論もあると思います。
ですが、日本の労働生産性は高くないんですよ。
「時間(ドル)あたり労働生産性」を比較すると、日本は47.3、フィンランドは61.9です。今後を考えると、働き方も見直して変えていかなければなりませんね。