はじめての金融教育 No10 親の終活(2) 親の資金管理をどうしますか?
はじめての金融教育 No10 親の終活(2) 親の資金管理をどうしますか?
親から次のような相談や電話を受けたことがありませんか。
キャッシュカードが見当たらないけれど、探してくれない?
クレジットカードをどこにしまったか分からないけれど、どうしたらいい?
このような事態に遭遇する機会は、親が後期高齢者になると、多くなりますよね。
こうした事態が大事になる前に、何か考えなければなりません。キャッシュカードの不正使用など、大きな不幸がもたらされる前に。私から①~④の提案をします。皆さんも、考えてみて下さい。
①親の資金管理です。現金の通帳貯蓄が多額であれば、利率は少ないですが、定期預金やリスクの低い、一年度決算の投資預金に預けます。3年債などの年数の短い国債の購入もありだと思います。
こうして通帳の残高を少なくすれば、キャッシュカードを紛失しても不安感が低減
しますよね。
あるいは、②預かり資金として親の預金通帳を預かってしまう。そのことに、抵抗感があるようでしたら、預かり資金用の通帳を作ってそこに親の貯蓄を移し管理する。それでも、抵抗感があれば、お互いの承諾書を作った上で、預かり資金を管理するといいです。
お金の問題と、将来への不安感が直結しやすいので、なかなか了承してくれないと
思います。
それでも大きな不幸をもたらす前に、早めの対応が大切です!
たとえば、後期高齢者になると、認知機能が徐々に衰えてきますよね。極端に認知機能が低下した場合、資産売却も介護施設の入居契約も家族が親に代わって行うことができません。成年後見人を依頼する必要がでてきます。
この記事では弁護士などの専門職が成年後見人に選任された場合、報酬の目安は月額2万円。症状が改善しない限り、死亡時まで継続としています(日本経済新聞朝刊2022年11月3日)。詳しくは記事をお読みください。
そうした場合の事態も考えて、任意後見人を子どもに指定しておくことも大切です。
認知症に至らなくても、徐々に判断機能は衰えてきています。
親の貯蓄③子や孫に贈与して貯蓄残高を減らすのも一つの手です。これは相続税の節税対策になることは、前回お書きしましたので、そちらをお読みください(詳細は「はじめての金融教育 No9 親の終活(1)」を参照してください)。
また、資産価値の高いマンションなどにお住みであれば、改修の積み立て金(築10年以上)が必要になってくるので、時価の高いうちに新築のマンションに買い替えをする。その際に、貯蓄の残高に見合った物件を購入し、残高を減らすのも、手かなと思います。将来、どうなるかわからないという不安感が強い後期高齢者には、受け入れがたいかもしれませんね。
あとは、④子や孫への教育資金の提供になります。
教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置
贈与者 受贈者の直系尊属
受贈者 30歳未満の子や孫
非課税限度額 受贈者1人につき1500万円
ただし、この教育資金は30歳までに使いきらなければならない点にはご注意してください。教育資金の管理が煩雑であれば、教育費を実費で負担してもらう手もあります(詳細は「教育資金贈与はまだするな!特例を使わなくても非課税にできる方法とは?」を参照してください)。
老親のお金の問題と将来への不安感は直結しています。一度に、全部をこなすのではなく、粘り強く、一つ一つやっていきましょう!ご相談があれば、いつでもどうぞ。