nakatalabのブログ

18歳からも始められる金融知識

はじめての金融教育 No8 日本の金利はいつ、あがる?

はじめての金融教育 No8:   日本の金利はいつ、あがる?

金融緩和

 異次元緩和としてマイナス金利を取り上げています(日本経済新聞朝刊2022年9月25日)。1995年の短期市場金利の誘導、2016年のマイナス金利政策など、この二十数年ほど、低金利あるいはゼロ金利という異常事態となっています(注1「金融市場調節方針の変遷を教えてください」)。

 金利とは物を消費して購入する代わりに、お金を預けて消費を控えているので、そこには本来、金利がつきます。しかし、日本では金利の低い状態が続いてきました。その恩恵として、この十年間は、住宅ローンが組みやすかったと思います。

 

 さて住宅ローンの金利も、日銀の10年国債金利が上昇すればそれに伴い、上昇することになります。そして、日本企業の多くは中小企業なので、金利が上昇すれば財務体質が弱ってきます。

 となると、昨今の景気を考えると、まだ金融緩和は維持され低金利は続いてゆくのでしょうか?

 皆さんはどのように考えますか?

 

 そこで、金利を理解するために、今回は割引現在価値を取り上げます。

 例えば、利子率が2%で100万円を預金口座に預けます。1年後には102万円になりました。このことは、今の100万円が1年後の102万円と同じ価値を持つことを意味しています。

 逆に1年後の100万円が今の時点で持つ価値はいくらになりますか、考えてみてください。

 

100万円 ÷ 1+0.02(利率) = 98.039215万円

 

 この金額を1年間貯金すれば、100万円になります。将来の金額を、現在時点の価値に換算することを割引計算と言います。

 t年後の金額cの割引現在価値は、次のような式になります。cはt年後の金額、rは利子率とします。 

 t年後の金額cの割引価値 = c ÷ (1+ r)t 

 

 そうすると、利子率が上がると、割引率が高くなることがわかります。ですから、金利(利子率)が低ければ、利息の支払いも少ないのはもちろんですが、割引率が低いので、所得の価値の割引も低くなります。

 この逆の場合を考えてみましょう。

 金利が高くなれば、利息の支払いも多くなりますが、割引率が高いので、将来の所得の価値の割引も高くなります。そうすると、ローンも組みにくくなりますし、また所得の割引を考えて住宅を売ってしまったり、購入を先延ばししようとします。

 

 また企業もCF(キャッシュフロー)として蓄えている資金も金利が上がれば、割引が高くなります。そのため、財務面でマイナスになってしまいます。金利も高いこともありますが、銀行の与信などで審査が通りにくくなります。また、社債が発行しにくくなります。

 

 さて、日本銀行金利を上げると、皆さんは考えますか?

 

 他にも、為替相場や日米の金利差、貿易の損益(黒字、赤字)などが関わってきます。私は、上げにくい状況にあると思います。そして住宅ローンなどを組む際には、金利が低いというのは好都合な状況です。、日本政府はそれを誘導してきたと考えられますよね。

 

 次に、住宅ローンの返済を考えてみましょう。

  元利均等返済 毎回の返済額が一定の返済方法

  元金均等返済 毎回の返済額のうち元金部分が一定となる返済方法

 

 元利均等返済は利息の支払いが大きく、元金がなかなか減らず、返済額が一定です。元金均等返済は返済期間の経過とともに、利息を含めた毎回の返済額が減少します。

 金利が低い状態で、一定の返済額で今後のライフイベントを考える人は、元利均等返済を選ぶのではないでしょうか。

 早く返済を済ませ、金利の支払いを少なくしたいと考える人は、元金均等返済を選ぶと思われます。

 この返済方法とともに、固定金利か、変動金利かを選びます。

 

 民間の金融機関と住宅金融支援機構が提携し提供するフラット35は固定金利ですフラット35は固定金利なので、変動金利より高い金利になります。それも下限が15年なので、金利は10年ものよりも高くなるので、長期にわたって返済していくことを前提にしています。ただし、今は本当に金利が低いので、1.5%前後になっています。

 ただし、戸建て住宅もマンションも対象にしていますが、土地を購入して家を建てるといった場合には、中小の工務店や建設会社はフラット35はやめてほしいと言われる場合もあります。

 また融資実行日の金利が適用されるので、金利が上がった時点が融資実行日であると、その上がった金利が返済期間中、ずうっと適用されるので注意してください。

 私は、はじめフラット35を検討しましたが、建設会社からフラット35はやめてほしいと言われました。そこで、固定金利の元金均等返済を選びました。その後、日銀が金利を上げる様子もなく、量的緩和に入っていくのですが、それとともに変動金利との差が2パーセントほどにもなったので、変動金利にスイッチしました。もしフラット35で借りていた場合、2パーセントほど高い金利を15年(下限)も払い続けることになったと考えると、金利の支払いは怖いなと思います。

 皆さんも、住宅ローンを考える際に、金利動向をよく考えてどのような住宅ローンが適しているか、を選択してください。また、金利動向が変わった場合も、今までの支払い方法でいいのか、再検討をするのをお勧めします。

 そう言われても、金融知識もないので、よくわからないという人は、FP(ファイナンシャルプランナー、私もそうです)に相談するといいでしょう。

 

(注1)

www.boj.or.jp